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【さよなら渓谷】~シリアスドラマ~


★★★★☆(4、5)

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diamond製作年度 : 2013
diamond製作国 : 日本
diamond監督 : 大森立嗣
diamondキャスト : 真木よう子、大西信満、鈴木杏
diamondストーリー
緑が生い茂る渓谷で幼児の殺害事件が発生し、
容疑者として母親が逮捕される。
隣の家に住んでいる尾崎俊介がその母親と不倫していたのでは
ないかという疑惑が、俊介の妻かなこの証言によって浮かぶ。
事件を取材する週刊誌の記者、渡辺がさらに調査を進めていくうちに、
尾崎夫妻をめぐる15年前の衝撃的な秘密にたどり着き……。
(シネマトゥデイより)

diamondレビューはこちら。

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diamond究極の“好きになってはいけない人”-。
 (ネタバレあり)



邦画は有名な作品以外はほとんど見ない私ですが
いや~、これは久っさしぶりに面白い邦画に出会いました。

少し前に『リアル~完全なる首長竜の日~』も観たんですが、
多分レビューはしないと思います(察してくださいw)

本作、予告を観たときにすでに面白そうで、
これはDVDになったら絶対に観ようと思っていたんですけどね。
もはや想像以上の面白さと衝撃っぷりにゾクッとしてしまいました・・・。
こういうカラーはアジア映画でないと出せないですね。


どこにでもいそうなごく平凡な夫婦-。
しかし夫婦には衝撃的な秘密があった。

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物語は、夫婦の過去を探る記者の物語と
過去に遡り、夫婦が“出来上がるまで”を交互に映し出します。

夫は過去に集団レイプ事件を起こしていた。
しかしそれだけでなく、その被害者が現在の“妻”だったのです。

こう聞くとアブノーマルな話なのかと思われる方が多いと思うのですが
物語はそんな安っぽい話ではなく、非常に奥が深く複雑で、繊細です。
なんなら究極の純愛のようにも見え、その危ういバランスに
観ているこちらはヒヤヒヤ、ドキドキと例えようもない感情に振り回されます。

でもコレってやっぱり“恋愛”の感情なんだろうなぁと-。

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まず集団レイプと聞くと誰しも思い描くイメージがあると思いますが
この場合は見ず知らずの相手をひたすら無理矢理に・・・というのではなく
少年少女数人で遊んでいて、ちょっといい感じになっている
(ように私には見えた)けれども女の子にはその気は全くない。

しかし少年たちはその場のノリと勢いで1人の少女を
レイプしてしまうのです-。
もちろんレイプには変わりがないのですが、少なくとも
私が想像していたような集団レイプとは違ってました。

やがて少女は成長し幸せな結婚をしたかに見えたのも束の間
束縛が激しい夫に暴力を振るわれたりと、どうにも幸せを掴めない・・・。

そんなときに、レイプしたメンバーの中で唯一彼女の元へやってきて
謝罪するのが、のちに夫となる人物なのです。
謝罪なんかで到底許されることではないのですが
他のメンバーと比較したときに彼が“まだマシ”だと感じるのも事実。

もちろん相手にはしない彼女ですが、
あるとき彼が置いて行った連絡先に連絡するのです。

『・・・私が死んでアンタだけが幸せになるなんて許せない!
アンタは一生私と苦しめばいい!』という彼女なりの“制裁”。

『私たちは幸せになるために一緒にいるんじゃない・・・』
と語る妻の台詞はとても印象的です。

そして男は、それなりに良い会社に勤め婚約者もいた生活を捨て
渓谷がある田舎のボロ屋で彼女と暮らすようになるのです。

それでもやっぱり、自分を犯した超本人と夫婦同然の生活を送る
というのは常識的には考え難いことではあります。

んじゃなぜ見る者にここまで共感させるのかといえば、
夫がまたフツーに“いいヤツ”なんですよ(!)
根っからの悪人というワケじゃないんですね~コレが。
なので、これならば妻が惹かれても不思議ではないなと思わせるような
キワキワの演出をしてるところがあざとかったりもするんです(笑)。

もちろん根底には彼女に対するうしろめたさがあるのですが、
妻の言うことを聞き、たまにはマッサージなんてしてやり、
自分に不利益なことをされても彼女を責めることをしない夫・・・。
これが物語の冒頭で起きる幼児殺害事件のことです。

妻は幼児殺害事件に夫が関わっているかのような虚偽の証言をします。
単に夫を苦しめたかったようにも、自身への忠誠という名の愛を
確かめたかったようにも思えます。


しかし、ある日突然姿を消す妻-。
記者は夫に『過去へ戻れるとしたら、妻と出会う前に戻りたいか、
それとも犯罪を犯しても妻と出会ったほうが良かったか-』と問います。

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そして夫はカッと目を見開いたところでエンドなんですよね~!!
この余韻は久々にゾクッとしました・・・・。
恐怖とかいうのではなく、恍惚とでもいいましょうか-。

エンディングで流れる真木よう子が歌う曲がこれまた
柔らかく温かい余韻を残すんですよね。

周りからは決して祝福されない、むしろ嫌悪感さえ抱かれそうな2人ですが、
唯一2人の理解者として記者を据えたところは良かったです。
押しつけがましい演出は一切なく、記者がさりげなく
『お互いが愛し合っているならもういいじゃないか』
というようなことを代弁しているように思えました。

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(大森南朋も相変わらず巧い・・・)


一方妻はもう、これ以上夫といることに限界を感じたんでしょうね。
なぜなら、彼を愛し始めてしまっていたから-。

ようやく人を愛することができたかと思えば、
究極の“好きになってはいけない人”・・・。
自身に対する嫌悪感もあったかもしれません。

彼女のもどかしさと葛藤にこちらも痛いほど共感してしまいました。
私がストックホルム症候群的な話が個人的に好きだからかもしれませんが
いや~、これはやっぱり好きになってしまうでしょう、“夫”を(!)


また激しい濡れ場も騒がれたこの作品ですが、
冒頭いきなり始まるこのシーン。
夫婦ならばごく当たり前のことなのですが、
夫婦の関係性が明らかになるとちょっと驚いてしまったりします。

お互い『愛してる』などと口にすることさえなかった夫婦ですが、
全てはこのシーンに集約されていたのだろうと-。
どう見たって(!)愛し合ってる者どうしのソレでしたよ、えぇ(-ω-)
コレが唯一の“暗黙の確認”だったんでしょうね。


しかしこの役を体当たりで演じきった真木よう子の演技は凄かった!
今までまともに彼女の演技を見たことがなかったのですが巧いですね~!?
何かを秘めているミステリアスさと荒んだ人妻感がこれまたエロティックでした。

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そして後半にいくに従ってどんどんオトコっぷりをあげてしまった夫役・・・
調べてみたら『キャタピラー』のあの“軍神さま”じゃないですか(笑)!!
あのときは顔がハッキリわかんなかったからアレだけど、
この人だったんだ~!?
カッコよかったですよ、フツーに(-ω-)


要はもう、誰にも祝福されなくたって、
2人がそれで幸せならいいんじゃない??ということですね(←?)

これほどのショッキングな題材を扱いながらも下品にならず
繊細で美しい物語に作り上げた監督の手腕はすごいです。
見終わったあとにその後の2人をあれこれ想像して
しばらく余韻に浸りたい作品です。



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